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評伝 出光佐三 高倉秀二著
![]() | 評伝 出光佐三―士魂商才の軌跡 高倉 秀二 (1990/10) プレジデント社 この商品の詳細を見る |
「士魂商才」というキーワードで沢山の書籍が出版されてるんですね。
この本は昨年(2006年10月)上場した出光興産株式会社(いでみつこうさん)の創始者出光佐三氏の伝記。石油、国際紛争、国際法という展開で昔学んだ国際法学者の名前が出てきて懐かしい(笑)。
氏の少年期から創業時に受けた恩義、世界大戦前後の苦労。環境への対応へのそれと官僚主義への対応へのそれ。タフネゴシエーターとの感強し。
行政・業界団体との対決の根底は護送船団方式政策への遺棄。官vs民との構図では製薬業界でのご父君の苦労を描いた星新一氏の「人民は弱し 官吏は強し」、宅配業社が監督官庁と繰り広げた闘いを描いた「宅配便130年戦争」を連想する。
出光興産は他に類を見ない経営方針。いわく
* 社員は家族
* 非上場でよい
* タイムカードはいらない
* 定年制度はいらない
* 労働組合はいらない
また私益より国益を優先する哲学。それらが異色のバックボーンとして存在する。
しかしながらその「皇国史観」には違和感。
当時の首相広田弘毅に関する本城山三郎氏の「落日燃ゆ」と比較しても軍部への記述がかなり違う。
総合して言えば伝記と言うのは中立ではあり得ないが、企業理念とそれを貫き通した姿勢には感動を覚える。
昭和四十九年五月十七日ーー。
マスコミではまったく報道されなかったが、この日、異色の対談が行われた。場所は東京・丸の内の帝劇ビル九階、出光美術館の一室。
対談者はフランスの生んだ「今世紀の世界の偉人の一人」と言われたアンドレ・マルローと、日本の生んだ不出世の経営者・出光佐三である。
「東京から奈良にかけてマルローが対談した人々はほかにも何人かにのぼっていた。高階秀爾氏、加藤周一氏とは美術対談が交わされた。池田大作氏とは仏教から世界政治にいたる幅広い会談が行われた。(中略)
ある意味でもっとも異色の対談は、出光佐三氏とのそれであったろう。ある意味とは、他の対談では質問するのはつねにマルローの対談者のがわであり、マルローが質問する立場をとることはほとんど稀であったのに、この出光興産店主との対話の折だけは終始一貫して質問者はマルローのみ、答えるのは出光氏のみだったということである。
これくらい人間を信頼していない姿はあるまい。タイムレコーダーという器械で社員の出勤や退社の時間を計り、机を同じ方向に並べて上役が社員を後ろから監督しなければならないようなところに、どうして人間の信頼や尊厳があるというのか。一瞬たりとも目の離せないような信頼できぬ人間が、どうして真の民主主義を実行できるのか。私にはむしろ、それが不思議でならん」
新 HRプロならこう読む!企業の系譜=出光興産 「大家族」甘え排し変革
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